劇場からの失踪

映画をこよなく愛するArch(Ludovika)による映画批評 Twitterもあるよ @Arch_Stanton23

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『モービウス/Morbius』史上最低のポストクレジット 劇場映画批評第52回

今回紹介するのは、SSU(ソニー・スパイダーマン・ユニバース)の最新作『モービウス/Morbius』である。主演にジャレッド・レトを迎えたマーベル映画で、同じくアメコミ原作の『スーサイド・スクワッド』で演じたジョーカーと違い、ダークヒーローを演じている…

『ナイトメア・アリー』信じた者だけが宿命に囚われる 劇場映画批評第51回

今回紹介するのはギレルモ・デル・トロ監督の最新作『ナイトメア・アリー』である。主演にブラットリ―・クーパー(スタン)を迎え、ルーニー・マーラ(モリ―)やケイト・ウィンスレッド(リッター博士),ウィレム・デフォー(クレム)などの実力派キャストも登場す…

『チェチェンへようこそ -ゲイの粛清-』ゲイの存在しない国など存在しない 劇場映画批評第50回

今回紹介するのはデヴィッド・フランス監督の『チェチェンへようこそ -ゲイの粛清-』です。本作はロシアの統治下にあるチェチェンで実際に行われている同性愛者への虐殺行為を、国外脱出を支援する団体の視点で追ったドキュメンタリーになっており、昨今のウ…

『THE BATMANザ・バットマン』暴かれたのは「暴くこと」の空虚さ 劇場映画批評第49回

今回紹介するのは、マット・リーヴス監督の『THE BATMANザ・バットマン』です。マイケル・キートンやクリスチャン・ベール、そしてベン・アフレックなど多くの俳優が演じてきたバットマンというキャラクターをロバート・パンティンソンが演じ、これまでにな…

『ライフウィズミュージック』「1+1+1」の思いやり 劇場映画批評第48回

今回紹介するのは世界的なポップアーティストであるSiaが、原案監督脚本製作を担当した初長編作品『ライフウィズミュージック』である。過去に薬物やアルコールの依存症であった彼女の自伝的な内容になっており、また自閉症の"ミュージック"との触れ合いに、…

「クリント・イーストウッドの歴史」監督特集 ー『クライ・マッチョ』で到達した境地についてー 劇場批評47回

今回紹介する作品はクリントイーストウッド監督が40年間温め、満を持して映画化した『クライ・マッチョ』である。 クリントイーストウッド監督人生50周年であり、監督作品40本目でもある本作、気合を入れねばなるまい!と思い、今回はクリントイーストウッド…

『MEMORIA/メモリア』記憶を伝播する残響 劇場映画批評第46回

今回紹介するのはアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の最新作『MEMORIA/メモリア』である。本作は初めてのタイ国外で制作された作品で、アピッチャポン監督のカンヌ4度目の受賞作品でもある。自分は初めてのアピチャッポンだったのだが、非常に哲学的かつ…

『真 事故物件 本当に怖い住民たち』 「事故物件」よりは100倍マシ 劇場映画批評第45回

今回紹介するのはジャパニーズホラーの新進気鋭佐々木勝己監督の最新作『真 事故物件 本当に怖い住民たち』について語っていく。ジャパニーズホラーは自分が最も浅いジャンルと言っても過言ではないため、今回初めて佐々木勝己という名前を聞いた。 自分はタ…

『Ribbon』ゴミか芸術か 劇場映画批評第44回

今回紹介するのは、のん が脚本監督主演を務めた初の劇場長編作品「Ribbon」である。2020年、誰もがコロナ禍によって日常を奪われた年、学生たちにとっては特に苦難の年だったはずだ。就職への影響や卒業にまつわる諸事情、また入学したにも関わらず学校にい…

『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』公民権運動への軌跡 劇場映画批評第43回

今回紹介するのは、『大統領の執事の涙』のリー・ダニエルズ監督最新作『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』です。ビリーホリデイが人生を名曲『奇妙な果実』とドラッグを巡るFBIとの闘いを中心に描き出している。ビリーホリデイを演じたのは…

『ドリームプラン』親が子供を守るということ 劇場映画批評第42回

今回紹介するのはウィル・スミスが主演製作を担当し、テニスの世界チャンピオンを二人も輩出した実在の家族を描いた『ドリームプラン』だ。予告を見た時点では、娘の将来を親が良かれと思いつつも、本人の意思を抜きにして決めてしまう親にかなりの違和感を…

『GAGARINE/ガガーリン』宇宙とガガーリン団地の接近 劇場映画批評第41回

今回紹介するのは、ファニー・リアタール,ジェレミー・トルイ監督の初長編作品『ガガーリン』です。主人公ユーリを演じるのはアルセニ・パテイリ、ヒロインは『フレンチ・ディスパッチ』『オートクチュール』など注目作に出演するリナ・クードリ。ちょっとア…

『ちょっと思い出しただけ』6年前から夜は変わらないのに 劇場映画批評第40回

今回紹介するのは、本ブログでも劇場映画批評22回で取り上げた『くれなずめ』の松居大悟監督の最新作『ちょっと思い出しただけ』です。『くれなずめ』は非常に変わった作品でしたが、パンフによると、比較的いつもの松居流の作品だったそうで、本作のような…

『選ばなかったみち』より身体的な平行人生の体験 劇場映画批評第39回

今回紹介するのはサリー・ポッター監督が若年性認知症だった弟の介護の実体験に基づいて撮った『選ばなかったみち』だ。本作はハビエル・バルデムと我らがエル・ファニングが親子役で初共演しており、彼らが演じるレオ(ハビエル)とモリー(エル)が共に過ごす24時…

『マヤの秘密』マヤの天秤は現在を測らない 劇場映画批評第38回

今回紹介するのはユバール・アドラー監督による緊迫の監禁スリラームービー『マヤの秘密』だ。冒頭の牧歌的なシャボン玉遊びの光景が、指笛一つで崩壊し、泥沼な状況に転げ落ちていく流れに、日常の脆さを痛感させられる作品になっていた。マヤ演じるノオミ…

『ロスバンド』モラトリアムを脱出せよ 劇場映画批評第37回

今回紹介するのはノルウェー発の音楽ロードムービー『ロスバンド』だ。監督はクリスティアン・ロー。聴き慣れない方だが、長編三作目である本作は2018年のベルリン国際映画祭ジェネレーション部門にノミネートされており、無名というわけではないらしい。因み…

『マザーズ』境界線の前身,祝福の是非 劇場映画批評第36回

今回紹介するのは、アリ・アッバシ監督長編一作目『マザーズ』です。アリ・アッバシ監督といえば長編2作目の傑作『ボーダー』を連想するでしょう。この度「未体験ゾーンの映画たち」の枠で本邦初公開された本作は、『ボーダー』を踏まえて観に来る人も多いは…

『真夜中乙女戦争』 画面の先の東京を憂うことができるのか。 劇場映画批評第35回

今回紹介するのは、二宮健監督作品『真夜中乙女戦争』。二宮健監督といえば『チワワちゃん』が一番に頭に過ぎり、東京を軽薄に真剣に生きていた門脇麦ら群像が、夜を駆ける刹那の情景が今でも思い出される。本作はそんな『チワワちゃん』に通じる「艶やかな…

『ハウス・オブ・グッチ』しょうもない愚痴しか思いつけない、GUCCIだけに。劇場映画批評第34回

今回紹介するのは『ハウス・オブ・グッチ』です。

『エッシャー通りの赤いポスト』 エッシャー通りでつかまえて 劇場映画批評第33回

今回紹介するのは、園子温監督の『エッシャー通りの赤いポスト』です。初の本格的なワークショップで51人の役者と作り上げた唯一無二の傑作です。

『エル プラネタ』虚飾の時代を見つめる女神の視座 劇場映画批評第32回

今回紹介するのは、『エル プラネタ』です。アマリア・ウルマンが監督,脚本,主演,プロデュース,衣装デザインを行い、虚飾の時代への優しき視座を感じさせる作品です。

『マクベス 』 女から生まれた者でお前にかなうものはいない 劇場映画批評第31回

今回紹介するのは『マクベス』です。 ジョエル・コーエンの初単独作品でモノクロ映像が見事な作品です。

『静謐と夕暮』日常と記憶、そして他者 劇場映画批評第30回

今回紹介するのは梅村和史監督の『静謐と夕暮』です。傑作です。

『明け方の若者たち』明け方が綺麗じゃない致命的欠陥 劇場映画批評第29回

今回紹介するのは『明け方の若者たち』です。駄作です。他の傑作青春劇を見ましょう。

『キングスマン/ファーストエージェント』戦争とキングマンの相性の悪さ 劇場映画批評第28回

今回語るのはマークミラーとデイヴ・ギボンズによるアメコミ『シークレットサービス』を原作とした大人気シリーズ『キングスマン』のシリーズ第三弾『キングスマン ファーストエージェント』。

『水俣曼荼羅』20年で辿り着いた悟り、辿り着けなかった平穏  劇場映画批評27回

2022年一発目に語っていきたい作品は『ゆきゆきて、神軍』で知られる原一男監督が、20年の歳月を掛けて国家権力と水俣病と闘う人々の姿を追った372分のドキュメンタリー、『水俣曼荼羅』である。

『ハロウィン KILLS』ハロウィンの夜は明けない 劇場映画批評26回

今回紹介するのは『ハロウィンKILLS 』。ネタバレありの批評になっています。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』前途有望だった少女の未来のために 劇場映画批評25回

今回紹介するのは「プロミシング・ヤング・ウーマン」です。エメラルド・フェネル監督による第一作目となる本作は、ポップなテイストの女性によるリベンジムービーとなっています。是非!

『夏への扉 -キミのいる未来へ-』最後ミスチル流せばよかったのに 劇場映画批評24回

今回紹介するのは『夏への扉 -キミのいる未来へ-』です。これまでの作品はあまり楽しめなかった三木孝浩監督の最新作、さてどんな作品になっていたのでしょうか。

豹変毒母の異常な愛情『RUN/ラン』劇場映画批評23回

今回紹介するのは『RUN/ラン』です。前作『Search/サーチ』で有名となったアニーシュ・チャガンティ監督がメガホンをとり、前作とは正反対ともいえる閉塞感溢れるスリラーとなっています。