劇場からの失踪

映画をこよなく愛するArch(Ludovika)による映画批評 Twitterもあるよ @Arch_Stanton23

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自宅鑑賞作品批評

映画批評『ジュラシックワールド』-インドミナスレックスの悲哀-

今回紹介するのは2015年公開の『ジュラシック・ワールド』である。スピルバーグ監督の手掛けた『ジュラシックパーク』シリーズの正当続編として始まったシリーズの第一作である。新作に向けて久しぶりの鑑賞をしたので少し書いていこう。

映画批評『仮面/ペルソナ』-「本当の自分」なるものは本当にあるのか-

ペルソナという題を持つ本作は、表情や感情等、一個人を定義する大多数を、あたかも映画(フイルム)かのように、人というスクリーンに投影する行為に他ならないとアルマとエリザーベットの同化への道程によって描いている。 アルマは看護婦で、エリザベート…

映画批評『ムーラン・ルージュ』-過去の持つフィクション性-

特殊撮影と豪華絢爛な舞台によってまるでアトラクションに乗っているかのように進んでいくライド型ミュージカルムービーであった。 この映画の異質さはまず音楽にある。20世紀初頭1899年のムーラン・ルージュを舞台にしているにもかかわらず作中で歌われるの…

映画批評『アダプテーション』-ハリウッド的な映画に対するチャーリーの回答

アダプテーションはこの作品において「適応」と「脚色」を意味する。本作を生み出したチャーリー・カウフマンはそのアダプテーションという行為と自らの分身を媒介して、脚本が如何に滑稽で崇高なプロセスを経て、生み出されるのかを自伝的かつ自嘲的に、しかし…

映画批評『コラテラル』一寸先の闇がトム・クルーズ

今回紹介するのは久しぶりの自宅鑑賞作品。作品はマイケル・マン監督の『コラテラル』である。2022年6月時点、最高の盛り上がりを見せている『トップガン マーヴェリック』で完全に魅せられた私は、トムの過去作を物色、その中で見つけたのが本作である。ト…

映画批評『落下の王国』-落ちた先にあった魔法の国-

今回批評紹介する映画は『落下の王国』。構想26年,製作期間4年という長い時間を掛けた圧倒的映像力で語られる小さな"作り話".おススメです!

映画批評『サウンドオブノイズ』-静寂は音楽なのか…音楽の妥協なき追求-

今回紹介するのは「サウンドオブノイズ」。街中を楽器にしてしまう集団「音楽テロリスト」とは一体何なのか……。 前半はネタバレなしに作品の魅力を紹介、後半はネタバレありで徹底考察したいと思います。

映画批評『タイラーレイク-命の奪還-』-子連れ狼の決死の脱出劇-

ルッソ兄弟製作,サム・ハーグレイブ監督Netflixオリジナルのアクション映画『タイラー・レイク-命の奪還-』の批評 スタント出身監督ならではの斬新なアクションの使い方とは!

散りばめられたメタファーが社会の正体を暴く『ゼイリブ』

今回紹介するのはジョン・カーペンター監督の『ゼイリブ』。社会風刺を未曾有のエイリアン侵略に重ねてしまう強烈な一作。おすすめです。

至高の音楽と共に語られる西部への憧憬と郷愁『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』

今回紹介するのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』。セルジオ・レオーネの紡ぐフロンティア・スピリットへの憧憬と哀愁。おススメです。

繰り返す憎悪と暴力の歴史~『猿の惑星』シリーズ~ 【ネタバレ注意】

今回紹介するのは『猿の惑星』旧シリーズ五作品です。SF映画の金字塔になったこのシリーズの魅力、猿と人間の対立の先に見えた一つの解答とは?おススメです。

日常が崩れる音は銃声と似ている『エレファント』

今回紹介するのはガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』です。本作は実話に基づいているが、本作は事件の本質とは違うところにある。 わずか80分弱の映画の尺、余白をつなぎ合わせたような時間が、貴方に他の作品よりも長い思考の時間を与える。 この…

不可逆な青春を駆ける旅『マイ・プライベート・アイダホ』

今回紹介するのは『グッドウィルハンティング』などで知られるガス・ヴァン・サント監督の『マイ・プライベート・アイダホ』(米1991年)です。 若き日のキアヌ・リーヴスと今は亡きリヴァー・フェニックスのW主演で、体で金を稼ぐ青年たちの青春を描いた作品…

「グザヴィエ・ドランの世界」監督特集 -集大成としての『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』-

今回紹介するのは『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』です。 こちらは新進気鋭、新世代の先駆者として知られるカナダ出身の監督グザヴィエ・ドランの最新作であります。 監督デビューを果たした第一作『マイ・マザー』を作り上げたのは若干20歳。低予算である…

若者の魂の漂流 『パーマネントバケーション』

今回紹介するのはジム・ジャームッシュ監督、初監督作品『パーマネントバケーション』(米1980年)である。 ニューヨーク大学で映画を専攻した彼が、その卒業制作として製作された初長編映画で、ニューヨーク郊外を彷徨うように歩く若者の爛れた一日をエモーシ…

鬼才ジュネ監督の原点、肉躍る世紀末の巴里『デリカテッセン』

ジャン・ピエール・ジュネ監督&マルク・キャロ監督のタッグによる初監督作品。 今回紹介するのは「デリカテッセン」である。 1991年に作られたフランスの映画であり、映画ジャンルで言えば"ダークコメディ"である。 舞台は核による終末戦争終結後、荒廃した…

映画の真実へのアンチテーゼ。暴走する青春。『アメリカン・アニマルズ』

昨年の5月に公開された『アメリカン・アニマルズ』 当時、新宿武蔵野館にて劇場鑑賞したときの衝撃は未だに忘れられない。"真実に基づく物語"というジャンルを根底から覆すような斬新な切り口。近年『ボヘミアンラプソディー』などの「事実に基づきながらも…

神,そして対立者との対話 『2人のローマ教皇』

―――――――――――――――――― 2人の教皇が存在するという異例の事態。これは現実で起こっていることで、何故そうなったのか。そこには二人の聖職者、対立した思想を持つ彼らの"対話"があった。 ―――――――――――――――――― 目次 CAST 対立と対話 友情作品としても面白い CAST …

愛は万能じゃない。不可逆な人間関係を描く 『マリッジストーリー』

――――――――――――――――――― 結婚は終着ではなく始点なのだと人は言う。 愛は全てを包みこんで、全てを解決するのだ。 しかし、それら全ては些細な事で壊れて...いや、それはきっかけに過ぎない。長い間で積み重なった不満は愛で包んであったその現実を曝け出す。 …

『ビューティフル・デイ』-ホアキンの見せるもう一つの内なる狂気と語らざる美-

――――――――――――――――――― 過去に脅かされ、呼吸が出来ない。体を蝕む過去は現実を侵食し生きる実感を奪う。そう、俺は本当はここにいない。 だがあの出会いで変わりはじめる。暴力的で狂気が滲む夜、彼女に出会う。 かつて我々が「レオン」「タクシードライバー…

『コンタクト』-彼女は遥か遠くの隣人に何を想うのか-

―――――――――――――― 彼女はノイズの先に誰かが居るのを知っている。 通信が顔も知らない遠くの誰かと繋いでくれることを経験で知っている。 遠い星ヴェガから届く電波信号。かつてなく遠く、今人類にとって最も近い宇宙の隣人。 この未知との接触(コンタクト)、…

『遠い空の向こうに』-夢を抱く人間は空を見上げる-

―――――――――――――――――――― 夜、空を見上げたことはあるだろうか。 都会の空ならば、点々とした光が、田舎ならば満天の光がそこにはあっただろう。空にある光が実は星ではなく、人工衛星だなんてことは身に覚えがあるだろう。 「なんだ、人工衛星か」 と落胆する…

『ランボー』-first blood,開戦の狼煙-

久しぶりにポップコーンムービーだ!と思って観たら・・めちゃくちゃ重い話じゃん・・(コマンドーみたいのを期待してた)無知で申し訳ない気持ちになった。 「ベトナム戦争の英雄、元グリーンベレーのゲリラ戦で彼に並ぶ者はいない! その名はジョン・ランボ…

『砂上の法廷』-法廷に真実はない-

洋画に登場するシーンではよく見かける宣誓。 こちらがその宣誓文である。 I swear by Almighty God that the evidence I shall give to the court and jury shall be the truth the whole truth, and nothing but truth. 「法廷及び陪審に対して行う証言は…

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』-乗り越えられない過去と共に- 

心に傷を抱え故郷を離れて孤独に生きる男がいる。バーでの女性のアプローチも無視し、心此処にあらずといった様子で日々を無為に過ごす。 その彼の元に故郷の兄の訃報が届く。彼は故郷“マンチェスタ-“に戻らなければならなかった。忘れたい過去、すべてを置…

『ものすごくうるさくてありえないほど近い』-喪失とどう向き合うか-

今回紹介するのは『ものすごくうるさくてありえないほど近い』です。9.11を超えて喪失を抱えた者たちの少し変わった再生の物語。おすすめです。