劇場からの失踪

映画をこよなく愛するArch(Ludovika)による映画批評 Twitterもあるよ @Arch_Stanton23

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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』劇場映画批評120回  今の人生を受け入れる

大傑作。本当に大好き。 1回の観賞じゃ絶対飲み込みきれない情報量。場面毎のテンションのアップダウンも激しくて、感情の浮き沈みがどう組み立てられているかも1回じゃ飲み込めない。それ故にか、シンプルでストレート結論やド派手な映像表現のみが心に焼き…

『フェイブルマンズ』映画の暴力性 劇場映画批評119回

大傑作。 最近特に「映画に関する映画」というのが続けて公開されている。それについては『エンパイア・オブ・ライト』のレビューで簡単に整理したので割愛するが、 本作はそれらの作品と完全に異質なことをやっていて、明らかに異常だ。

『The Son /息子』親もまた息子 劇場映画批評118回

本作は2021年の米国アカデミー賞を賑わせた『ファーザー』の監督、フローリアン・ゼレール監督の最新作である。元々監督本人が携わった戯曲に家族三部作(The father ,the son, the mother)があり、その二作品の映画化ということである。 三部作ということ…

『逆転のトライアングル』悲しみの三角のほうが絶対良かったよね 劇場映画批評117回 

全方向に喧嘩を売りまくり「特権を持った人間は浅ましい本性をさらけ出す」と語る。そこには富裕層と貧困層の垣根はないのだ。貧困層の人間がひとたび"特権"を持てば富裕層の如く特権を行使するという三章があるおかげで、プロレタリア的な視点だけではなく…

『ベネデッタ』システムに内在する欠陥を暴き出す 劇場映画批評116回 

実在の人物、修道女ベネデッタの記録に基づき描かれた本作は、彼女が真に狂信的な信仰を持つ存在であるが故に、キリスト教の欺瞞を仕組みの中から暴き出すのだ。彼女にその意図はなく、されど意図がないからこそ、その破綻は必然的に暴かれる。その非作為的…

『エンパイア・オブ・ライト』観客を照らす光こそが映画なのだ 劇場映画批評115回

これまでにあった"映画についての映画"は、言ってしまえば「映画の力を信じる人」によって撮られた作品である。映画とは人生だと、映画とは魔法だと、映画は人や現実を変えうると、実感を以て言い張れるもの達の映画だ。 だが、本作は日常にあるただの"映画"…

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』他にも…… 他には特にないか… 劇場映画批評114回

本作の予告編を観た時「違う、そうじゃない」と強く思ったのをよく覚えている。何故ならアントマンシリーズはMCUにおいて唯一「普通の人」の話が出来るシリーズであったし、能力よろしく"ミニマム"な視点で家族や日常の話を展開できたシリーズだった。同じテ…