劇場からの失踪

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『グレイマン』最後にはドーンッ! 『コマンドー』でした!!! 劇場映画批評第70回

題名:『グレイマン』
製作国:アメリカ

監督:アンソニー・ルッソ ジョー・ルッソ監督

脚本:ジョー・ルッソクリストファー・マルクススティーヴン・マクフィーリージョー・シュラップネルアナ・ウォーターハウス

音楽:ヘンリー・ジャックマン

撮影:Stephen F. Windon

公開年:2022年

製作年:2022年

 

目次

 

あらすじ

「ブレードランナー 2049」「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリングと、「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズのクリス・エバンスが初共演し、命をかけた工作員同士の攻防を描く。通称「グレイマン(見えない男)」と呼ばれる優秀なCIAの工作員コート・ジェントリーは、ある日、組織の超重要機密を知ってしまったことから、命を狙われるはめになる。非情な工作員のロイド・ハンセンはコートに賞金をかけ、あらゆる手段を使ってコートを仕留めようとするが……。

引用元:

eiga.com

今回紹介するのはMCU作品で名を挙げたルッソ兄弟による新監督作品『グレイマン』である。主演にライアン・ゴズリング、そのライバル役としてクリス・エヴァンスをキャスティングし、スリリングなスタイリッシュアクションに仕上がっている。特にクリス・エヴァンスの配役はキャプテン・アメリカを演じてきたからこそのアイロニックなキャスティングになっていて面白い。それでは早速語っていこう。

 

※以降ネタバレあり

 

 

流石ルッソ兄弟

『ボーンアイデンティティ』的なスパイ逃亡劇かと思ったら、最後にはドーンッ!

『コマンドー』でした!!!

というお話。とことんアクションに全振りした作品であり、作品全体の緩急や整理はされていないのにも関わらず、アクションパート内だけはとことん緩急つけてテンポもよく仕上がっているのだから別の意味で笑えてくる。特に頭脳プレイを途中途中で挟むことで、冷静なプロフェッショナル像をアクションで見事に築けていた。
中でもウィーンでの一連の銃撃戦は間違いなく本作の白眉で、拘束された状態からの脱出→軽やかな逃亡劇→乗り物アクション。このアクションの運びが流麗とも表現できるほどに上手く、『ウィンターソルジャー』の高速道路でのvsWS戦を思い出させる手際に流石ルッソ兄弟と唸ってしまう。

またアナ・デ・アルマスは魅力的で本当に素晴らしい。「玉の入った銃は投げない」の下りでのライアン・ゴズリングとの掛け合いは本当に気持ちのいいものであった。またクリス・エヴァンスがMCUの印象を巧みに利用しながらのうるさくて下品だけど強いラスボスを演じており、これまた最高。ラストのぶん殴り合いは凡庸だが、クリス・エヴァンスの独り言で成立していた。何故こんなラストにしたかは疑問だが。

 

ドローン撮影

他には今回印象に残るのはドローンを用いた撮影だろう。確かルッソ兄弟プロデュースの『タイラーレイク』でも使われていた気がするが、今回も様々な場所で使われていた。ただ正直ドローン撮影の多用が、テンポを乱していたというか、観客の心理的動線を破壊していたように思う。ドローン撮影はA地点からB地点に至るまでの中で、追う/追われるのアクションを捉えるのに有効な方法だといえる。空からのスピード感ある映像が映像のテンポは爆上げし、その後のB地点のスピードアクションに橋渡しできるからだ。
ただ今回、今あげたような場面以外にも使われていて、特にA者がB者をみつけるみたいな被写体のスイッチに使われていた。それもまた効果はあるだろうが、全く違う意図で同じ撮影を行うから混んがらがってしまったように思う。個人的にかなり不満なポイント。

 

 

おわりに

全体としては、アクション映画の脚本のお決まりな感じにやはりきついものを感じた。これを家で鑑賞していたなら飽きていたことだろう。シネマートのブースサウンドで観たから面白かったのは間違いない。